2023年度 COI-NEXT 年次シンポジウム開催報告

2023年度 COI-NEXT 年次シンポジウム開催報告

2024年2月20日、OIST COI-NEXT年次シンポジウムが開催され、文部科学省、琉球大学、コランダム・システム・バイオロジー、サントリー、 その他共同研究者と学外からのゲストを含む150名以上が参加しました。

OISTのCOI-NEXTがこれまでどのように機能してきたのか、そして今後どのような方向を目指しているのか、プロジェクトリーダーのニコラス・ラスカム教授はプレゼンテーションを通じて語りました。彼は “One World, One Health “というコンセプトを説明し、プロジェクトの10年後のビジョンを語りました。彼は、「健康な心/身体/環境のつながりは不可分である」と言い、プロジェクト全体を導く原則を表しています。研究対象、専門知識の種類、研究開発部門のプレーヤーなど、あらゆるところで統合が行われています。どのイニシアチブも、社会にポジティブな影響を与えることを最終的な目標としています。

最近の学内公募を経て、現在ではOISTの各ユニットと外部パートナーとの連携による18の独創的な研究サブプロジェクトがあり、これには若手研究者のための独立したプロジェクトも含まれています。一方、COI-NEXTは、沖縄の経済発展のために「スタートアップ・アクセラレーター」と呼ばれるイノベーション・インキュベーターを提供しています。OIST Innovationのローレン・ハ准副学長は「産業との連携」と題した講演で、スタートアップ・アクセラレーターの方法論と進捗状況について包括的かつ印象的な説明を行いました。69のスタートアップ応募者の中から、アイデアを実行に移し、新会社を設立するためのブートキャンプを含む複数のステップを経て、4つの「優勝チーム」が選ばれました。

ニコラス・ラスカム教授は、COI-NEXTの今後のアクションを待ち受けるいくつかの課題、すなわち、より高いレベルでのプロジェクトの統合(バイオコンバージェンス)と、国際レベル、非学術レベル、地域レベルにおいて、今後はさらに多くのプレーヤーとのコラボレーションが必要だと強調しました。そして琉球大学の羽賀史浩 特命教授は同大学COI-NEXTである農水一体型サステイナブル陸上養殖の取り組みの話の中で、OISTのCOI-NEXTと連携する意向を明確に示されました。

このシンポジウムでは、社会的に大きな影響を与える可能性のある特定のイニシアチブに関するプレゼンテーションも行われました。ゲイル・トリップ教授(OIST)は、ADHD(注意欠陥多動性障害)に社会がどのように対処できるかについて発表しました。またコランダム・システム・バイオロジーの大竹秀彦 CEOは、ヒトマイクロバイオームの大規模な自動化分析からメタゲノムと健康状態の複数のパラメータとの相関解析を提案しています。このようなアプローチは、近い将来、明らかに大きな影響を与える可能性があります。

最後に、イノベーションと産学連携が組織レベルでどのように取り組まれなければならないかについて、OISTのカリン・マルキデス学長と栗原聖之氏がそれぞれ重要な見解を述べました。二人とも、この分野において豊富な経験を持っており、聴衆と分かち合いたいとの思いで語りました。

 

文章:Mari Bergsvag

写真:Jeffery Prine

 


活動報告一覧へ戻る